FXとは、「Foreign Exchange=外国為替」の略で、海外では「Forex」 (Foreign Exchangeを略してフォレックス) と呼んでいます。 日本では、外国為替証拠金取引(通貨証拠金取引や外国為替保証金取引)の事をFXと呼び、証拠金(保証金)を金融機関に預託して差益による外国通貨の売買取引を指します。
為替取引の歴史
FXで「簡単に資産運用したいな」「お小遣い稼ぎしたいね」など、友達との話題に「FXの話題」が出てきた時にご覧いただければ、「FXとは何か」が分かるようまとめています。
筆者も20年以上前、知人にルーブル(ロシア通貨)で儲けた話を聞き、うらやましく思い「FX」を知る切っ掛けとなりました。以来、「FXの世界」に関心をもつようになります。
「FX」は少額投資が可能で、リスクはあるものの夢のある資産運用ツールと言えます。この記事を読んで、「FXのダンジョンの扉」を開けてみてはいかがでしょう。
「FX」って博打・ギャンブルの類でしょ
「FX」する方のスタンスでギャンブル的要素がある事は否めません。
しかし、世界の金融機関や投資家などが参加するオープンな為替市場で、勝率(収益率)が高まる取引戦略を持てば、個人投資家として十分資産運用が可能だと考えています。
「FX」にご興味ある方は、この記事で「FXの概要」をご確認いただき、デモトレード(架空の取引シュミレーション)や少額(数万〜十万円)の取引で「FX」に慣れて頂くことをはじめはおすすめします。
「FX」を通じて、資産運用に加え、国内外の政治・経済を見る目を育む事ができる世界へようこそ。
1.FXの概要
更に、FXには少ない資金で何倍もの為替取引ができるレバレッジと言う仕組みがあります。
FX 儲けのカラクリ(為替差益とレバレッジ)
為替差益とは、通貨取引した際、為替レートの変動で生じる収益の事でFXの収益の根幹。
レバレッジとは、少ない資金(証拠金)を担保に、その何倍もの通貨を取引できる仕組みであり、FXで為替取引を行う際の特長の一つ。
たとえば、証拠金10万円で200万円分の通貨を取引する場合、レバレッジは20倍となり、小さな資金で大きな取引が可能になります。(テコの原理と同じ仕組み)
このレバレッジで、利益は拡大するが、一方で損失も大きくなる可能性があります。故にリスク管理は重要。
※FX取引時のレバレッジ 1倍 vs 20倍の違い
項目 | レバレッジ1倍 | レバレッジ20倍 |
取引額 | 10万円(1,000ドル) | 10万円(1,000ドル) |
必要な自己資産 | 10万円 | 5,000円 |
利益 | 5,000円 | 5,000円 |
利益率 | 5%(10万円に対して) | 100%(5千円に対して) |
リスク | 損失は自己資金の範囲内 | 損失は20倍で増大(ロスカットの危険) |
FXで知っておきたい (スプレッドとロスカット)
スプレッドとは、為替市場における売値(Bid)と買値(Ask)の 差のこと。
市場の流動性やリスクを反映する役割を担っています。
例えば、通常スプレッドが1pipsだったとしても、重要な経済指標の発表後など為替の急変に伴い5~10pipsに拡大することもあります。また、FX会社は、手数料の代わりとなる取引コストとして認識しています。
- 市場の流動性:流動性が高い通貨ペア(USDJPY等)はスプレッドが狭い傾向である。
- FXの取引モデル:FX会社によって、固定スプレッドを提供するところもあれば、変動スプレッドを提供するところもある。市場の状況によって大きく為替変動した場合、スプレッドは広がる場合もある。
- ボラティリティ:相場が不安定で大きく変動する時期には、スプレッドが拡大する傾向がある。
ロスカットとは、損失の拡大を阻止するため、強制的に決済(取引終了させること)が行われる仕組みです。
投資家が証拠金取引を行う際、相場急変によって大きな損失を被る可能性があります。故に、損失が証拠金を超えて拡大することを阻止するため、証拠金の比率がある基準に達した場合、強制的に決済(反対売買により取引を終了させること)が行われます。なお、このロスカットには以下の目的があります。
- 顧客の資産保護: 損失が膨張、元本以上の損失(マイナス残高)発生を阻止する。
- FX会社のリスク管理: FX会社として顧客の損失が未収金になるリスクを抑える。
- 市場の安定性維持:取引が制御不能になることをシステムとして抑止し、市場の安定化を図る。
※為替市場で急激な価格変動等が発生した場合、ロスカットが間に合わない可能性があるため、投資家はリスクを抑えた取引が重要となります。
2.FXの収益
FXには、2つの収益を得る方法があります。1つ目は為替差益、2つ目がスワップポイントです。
FXの収益①:異なる通貨を取引した際、為替レートの変動で収益があがる為替差益により収益で獲得できる。
- 円安局面で100円でドルを買い、値上がりした105円でドルを売れば、為替差益で収益が発生します。
- 円高局面で105円でドルを売り、値下がりしたドルを100円で買い戻しても、為替差益が発生します。
※為替レートの変動状況により、売買のタイミングで逆に損失が生じることもある。
各国は政策金利を定めており、この金利は国によって水準が異なります。FXでは、金利が低い国の通貨を売って金利が高い国の通貨を買うと、ポジションを保有している日数だけ、金利差分の収益が得られます。この収益をスワップポイントといいます。
スワップポイントの獲得は、金利差が大きい新興国の通貨を長期保有することで収益を狙う手法が一般的です。
- 低金利通貨を売り、高金利通貨を買うと、スワップポイントが受け取れる。
- 低金利通貨を買い、高金利通貨を売ると、スワップポイントを支払うことになる。
3.取引方法
FXの基本的な注文の流れは、下記①~③の手続きとなりますが、トレーダーとして為替取引を行う場合、⓪~④になります。トレーダーは損失を削減し為替差益を得ることが目的であり、以下の0と4(ゼロヨン)が重要となります。
⓪ 為替取引の方針決め
為替取引をする際、金融機関等のディーラーや一般トレーダーにしても、必ず取引方針を持った上で、注文を行っています。注文前にいつ円安局面・円安局面に入るのか、その時にどの通貨ペアをどれくらいの数量で売り買いするのか、利益の確定は何銭で行うのか等です。ここが決まると、通常 ①~④は悩まず円滑に行う事ができます。
① 通貨ペアの選択
通貨ペアは取引の際に選択します。おすすめ通貨ペアは、取引量が多いUSD/JPYですが、シミュレーション等で相性のいい(勝率の良い)通貨ペアを選択してください。
② 取引数量の指定
はじめは証拠金残高にもよりますが、(証拠金を7分割程度に分け)1回の取引で1000前後で注文することをおすすめします。損失がでたら、次の手を考えて売買できるよう資金に余力を残して置き、即お手上げになる状態を抑止できるようにしておくと良いでしょう。
取引数量は「FX会社」のシステムにより初期値(取引単位)を設定出来たり、都度入力する事になります。なお、取引数量の増加については、勝率が上がり証拠金が増えてきたら、増やす試みをしてください。
③ 買い/売りの選択
方針に基付き、売り(ショートとも言う)、買い(ロングとも言う)を行います。注文の入れ方は、基本的に直ぐ注文(成り行き注文)するか、為替が想定レートに到達したら注文するかの2つです。
④ 決済
決済は、為替を買っている場合は売り、売りの場合は買い戻すことを指します。決済時の差益又は損失の存在によって、決済により利益の確定又は損失切りを行う事になります。
差益(収益)を上げるためには、勝率を意識することが重要となります。(為替相場の状況にもよりますが)予め差益を何銭(何pips)獲得したら利益確定の決済を行うのか決めておくと、勝率の向上に寄与することになります。
一方、損失が発生しだした場合、当初の思惑(方針)が外れた時に損切り決済の判断を行う事が重要です。損失額を抑え日々証拠金の保全を心掛けることも重要となります。
4.取引手法と戦略
取引手法 | 特徴 | 備考 |
①スキャルピング トレード | 小さな値幅を狙う:0.数~数pips 短時間で取引:数秒~十数秒 or 数分~数十分 高頻度取引:1日に数回~数十回 使用チャート:1分足・Tick・他 テクニカル指標の活用:指数移動平均・エンベロープ(10pips単位) | 小さな利益を積み上げる スプレッドの影響に注意する 値動きに伴い瞬時の判断が必要 リスク管理が重要(損切も瞬時の判断が必要) ※対象:初心者・中級者他 |
②デイトレード | 1日で取引を行う:すべて1日で売買する スキャルピングよりは長めの時間軸:スキャルピングより長め(数十分から数時間) 使用チャート:1分/15分/1時間足・他 1日のトレンドやイベントを活用: その日のニュースや経済指標等の下、トレンドに沿った取引や反発ポイントを狙う | フォロートレンド(順張り) 逆張り(反発狙い) サポートやレジスタンスラインで復帰を狙う 経済指標やニュースを活用する 損切りラインと利益確定ラインの設定 リスク管理:損切りと利確のルールを予め設定し1回の取引でリスクの抑制が重要 ※対象:初心者・中級者他 |
③スイングトレード | 取引期間:数日~数週間 比較的大きな値幅の取引:数十pipsから数百pipsの値幅を狙う 使用チャート:4時間足・日足・週足等 スワップポイントが影響:スワップポイントも同時に狙える 相場のターゲット:大きなトレンドや波の転換点を捉え取引を行う | トレンドに乗り利益を狙うトレンドフォロー型の戦略が中心(逆張りで押し目買いも行われる) ファンダメンタルズに伴う相場分析や相場に影響を与える情報収集も必要となる ※対象:中級者以上 |
④ポジション トレード | 取引期間:長期ポジション(数か月~数年) 大きな値幅の取引 使用チャート:週足・月足等 スワップポイントが影響:スワップポイントも同時に狙える 相場のターゲット:長期的トレンドに焦点 | スワップポイントを狙ったり、経済指標や政策などのファンダメンタルズを重視。 特に低ボラティリティの時期(値動き取引が少ない時期)にポジションを準備し、大きなトレンドの発生時に利益確定を狙う ※対象:ディーラー |
⑤システムトレード | プログラム(EA)を用いて自動取引を行う手法 裁定量を含まず、一定のルールに従って取引を繰り返す (取引の際に感情に左右されない点がメリット) | リスク管理や資金管理の確保 過去の相場データで検証された戦略が多い MT4のEA等が高額で市販されている ※対象:中級者以上 |
⑥ヘッジトレード | 中長期で大量のポジションを保有している場合、相場変動等に伴うリスク分散を目的として反対売買を行う手法 同じ通貨ペアや異通貨ペアで異なる方向のポジションを持つことが多い | リスク回避利益や確保が主目的 例えば、リスクが高いポジションを保有しながら逆方向のポジションをとり、大きな損失を確保しながら利益を狙う ※対象:中級者以上 |
⑦キャリートレード | 高通貨と低通貨の入金差(スワップポイント)を狙った手法 | ボラティリティが低く安定している相場で有効 差損で相殺されるリスクもある ※対象:中級者以上 |
※上記が主な為替取引の種類です。他にファンダメンタルズ(経済指標)分析によるトレードやテクニカル分析(チャート分析)によるトレードの分類がありますが、これらは、上記トレードに組み込まれています。ファンダメンタルズ分析は①を除く手法で利用される傾向があり、テクニカル分析に至ってはほぼ全ての手法で利用されていると言えます。
5.リスク管理
項目名 | 概要 | 管理方法 | 補足 |
①市場リスク (価格変動リスク) | 通貨の価格は常に変動しており、予期しない方向に動いた場合、損失が発生する。 特徴: ・政治・経済のニュース、中央銀行の政策、国際関係の変化が大きな影響を与える。 ・取引時間が長いため、夜間や休日でも変動が起こる可能性がある。 | ・ストップロス注文: 事前に損失を限定する価格を設定 ・ポジション管理: 大きすぎるポジションを取らない | 注意点: 価格が急変する場合、損切り(ストップロス)の設定が間に合わない可能性がある。 |
②レバレッジ リスク | レバレッジを使用することで、少額の証拠金で大きな取引が可能だが、損失も比例して増大する。 特徴: ・高いリスク・リターンを伴う。 ・証拠金維持率が低下すると、強制ロスカットが発動する可能性がある。 | ・適切なレバレッジ設定: 高すぎるレバレッジは避け、取引時の勝率を考慮し取引規模を調整する ・証拠金の余裕を確保: 想定取引規模に応じて証拠金に余裕を持たせる配慮 | 注意点: 証拠金が足りなくなると追加入金が必要になる場合がある。 |
③流動性リスク | 通貨ペアによっては流動性が低い場合があり、大きな注文が市場に与える影響が大きくなる。 特徴: ・主要通貨ペア(例: USD/JPY, EUR/USD)は流動性が高い。 ・エキゾチックペアは流動性が低く、スプレッドが広がる。 | ・流動性の高いペアを選ぶ: 特に初心者は主要通貨ペアに集中。 ・指値注文を利用: 市場価格が不安定な場合でも有利な価格で取引可能。 | 注意点: 急激な価格変動や取引不成立の可能性。 |
④スプレッド リスク | 売値と買値の差(スプレッド)が広がることで取引コストが上昇する。 特徴: ・市場の流動性が低下するとスプレッドが拡大する。 ・重要な経済指標発表時にはスプレッドが急激に広がることがある。 | ・スプレッドの安定したブローカーを選ぶ。 ・重要指標発表の時間帯を避ける。 | 注意点: コストが高くなり、短期トレードの利益を目減りする可能性あり。 |
⑤スリッページ リスク | 急激な相場変動時、注文が希望価格で執行されない。 特徴: ・市場の流動性が低下しているときに発生しやすい。 ・特に指値注文や成行注文の執行に影響。 | ・市場が安定している時間帯を選ぶ。 ・保証付きストップロスを利用。(提供するブローカーの選定が必要) | 注意点: スリッページに伴い、予期せぬ損失や利益減少が発生する。 |
⑥金利リスク (スワップ変動) | 通貨間の金利差によって発生するスワップポイントが変動するリスク。 特徴: ・高金利通貨を保有している場合、金利の低下でスワップ収益が減少。 ・長期保有の際に影響が大きい。 | ・短期取引でスワップの影響を最小化。 ・金利差の変動に注意。 | 注意点: スワップポイントが逆転(損失=マイナス)になる可能性。 |
⑦システムリスク | 通信エラーや取引プラットフォームの障害によって、取引が行えなくなるリスク。 特徴: ・インターネット接続が不安定な場合に影響。 ・急変時にポジションを閉じられない可能性。 | ・信頼性の高いFX会社を選ぶ。 ・モバイルアプリや予備のデバイスを準備する。 | 注意点: トレード中に障害が発生すると、大きな損失につながる。 |
⑧感情リスク (心理的リスク) | 利益や損失に対する過度な感情反応が判断ミスを招くリスク。 特徴: ・欲望や恐怖がトレードを支配。 ・計画外のポジションを取る。 | ・トレードルールを作成し厳守。 ・取引記録をつける。(トレードジャーナル活用) | 注意点: 感情的な取引(方針及び論理的でない取引)により、損失が拡大する可能性。 |
まとめ
FX(外国為替証拠金取引)とは、世界の通貨を売買して、その差益で収益を出す投資方法です。FX取引に際しては、以下のFX特有の枠組みを認識した上で為替取引を行います。また、収益を上げることを目的としているため、FXの取引方法(倍率設定・通貨ペア選定・売り買い・数量・決済タイミング判断)とリスク管理を踏まえ、相性の良い取引手法を選びトレードすることで、収益を狙う試みが必要です。
- 為替差益: 為替レートの変動によって生じる差益。
- スワップポイント: 異なる通貨ペアを保有することで得られる金利差。
- レバレッジ: 少額の資金で大きな金額の取引ができる仕組み。
- スプレッド: 売値と買値の差額で、取引にかかる手数料のようなもの。
- ロスカット: 損失が一定の金額を超えた場合に、強制的にポジションが決済される仕組み。
為替市場は非常に大きな市場であり、運用手腕によりFXトレードで収益が見込める夢のある市場です。個人投資家として、FXの世界を探求してみては如何でしょう。
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